2014年2月16日日曜日

奈良の旅人エッセイ-16-「真秀ろば の 空」

「真秀ろば の 空」


奈良市は奈良県の北の端なので、お隣の天理市、その向こうの桜井市なんかに行こうと思うと、県内を南に向けて走ることになる。
車の助手席側の窓から左手に山を見ながら、ずんずん走る。
国道24号線(奈良バイパス)も悪くはないけれど、できたらその東側、より山際を走る国道169号線を選ぶといい。
奈良市街を抜けるころには両側に畑や田んぼ、ビニールハウスが増え、段々とのどかさが増していく。
高い建物もほとんどなく、直線で続く道からは 空がよく見える。
雲一つない日より、雲が浮かんでいるほうがよりいい。
いろんな形の雲が流れていく。雲の影が山に映る。
時折 雲間から光がさし、「あ、天使のはしご!」と思わず しばし見とれる。
前方の雲が厚く暗く、あのあたりだけ雨が降ってるかな、と近づくにつれ まるで雨のカーテンのようにくっきり見えることさえある。
盆地ならではなんやろうか?
空がとっても近く感じられる。

三輪山から奈良の春日山を結ぶ「山の辺の道」からも 飛鳥、藤原京から平城京を結ぶ「上ツ道・中ツ道・下ツ道」からも 見上げれば、見渡す限りの空が眺められたことでしょう。
1300年、いえもっと古代より、天皇も貴人も渡来人も役人も平民も歩いて、あるいは馬や牛や乗り物に揺られながら きっと見上げたであろう 奈良の空。
      
倭は 国のまほろば たたなづく 青垣
山隠れる 倭し うるはし                      
     倭建命    古事記歌謡 31

奈良県在住 M.Y.様