2014年2月17日月曜日

奈良の旅人エッセイ-17-「私の奈良一人旅」

「私の奈良一人旅」

奈良が好きになり奈良に通うようになって約三年になります。
きっかけは、友人に誘われて唐招提寺に行き、そこで数々の感動を覚えたことです。 
私は旅行が大好きで、友人と一緒にこれまで各地の寺社仏閣に赴き、様々な仏像を拝観してきました。しかし、初めてその南大門の前に立ったときに感じたのは言葉では表わすことができない厳かな空気。そして初めて来たにもかかわらず、何故か「懐かしい」という気持ち。盧舎那仏様、薬師如来様、千手観音様を観た時には「やっと逢えた」とさえ思ったのです。
それは今尚、不思議に思うことの一つです。
それからというもの、インターネットで奈良について調べる日々が続き「奈良倶楽部」のページに出会いました。それを見るうちに私の奈良熱はどんどんヒートアップし、「もっと奈良を知りたい」「奈良へ行きたい」という気持ちが抑えられなくなってしまったのです。そして「小さなホテル奈良倶楽部」にお世話になってからというもの、私はますます奈良に魅了され、今では毎月のように奈良へ通っています。寂しがりで怖がりの私が一人旅を始めるなどとは、主人や子ども達は考えもしなかったそうです。
大阪市内から奈良へは日帰りでも充分な距離ですが、私はいつも一泊から二泊の予定を組みます。それは行く場所によって宿泊先も変わり、それぞれ違った奈良の良さを味わえるからです。そして奈良倶楽部では訪れるたびに奈良の魅力を教えていただき、たくさんの素敵な繋がりができました。
また早朝の散歩をすることも大きな楽しみの一つです。
大仏殿講堂跡に向けての坂道が私の最大のパワースポットで、この坂道を歩く時には「今、生きている最高の幸せ」を感じることができます。
そこから大仏殿までの道、生い茂る木々や、見上げる空が私の心を癒してくれます。
大阪で暮しているとついつい目の前のことに手一杯で、頭上に空が広がっている事を忘れてしまいます。
奈良は、そんな当たり前のことに気付かせてくれます。
大仏殿に朝一番に入ることも楽しみの一つです。綺麗に整えられた香炉にお線香をたて、誰ひとり歩いていない参道を歩き、静かに大仏様に手を合わせます。
この大仏様が建てられた時、人々はどんな気持ちで手を合わせたのでしょうか
そんなことに想いを馳せながら、先人達への感謝の想いで胸が一杯になるのです。
奈良を旅するようになり、色々な面で私自身が変わってきたように思います。
これまで日本の歴史について特に深く考えることなく過ごしてきました。
古典芸能についても同様で、お祭りに至っては人ごみが苦手な私には全く興味のないものでした。しかし、奈良に惹かれていくうちに歴史や古典芸能についてもっと勉強したくなり、お祭りごとの行事には日を選んでまで行くようになりました。
家族に対しても、母親・妻・嫁という立場からだけでなく、一人ひとりに対して改めて愛おしさを感じるようになり、彼らに感謝すると同時に、自分に出来る精一杯の幸せを与えていきたいと思うようになりました。
人生の折り返し時点をずいぶん過ぎてしまいましたが、まだまだやりたい事や挑戦したい事が増え続けているのは「奈良ひとり旅」をしてきたお陰です。
たくさんの大切なことに気付かせてくれた大仏様を始め、阿弥陀様、観音様、縁あって繋がることができた素敵な仲間たちに心から感謝しています。
そしてこれからも末長く「奈良一人旅」を続けて行くことができるように、一日一日を大事に過ごしていきたいと思います。

大阪府在住 M.Y.様 50代 女性