2014年2月7日金曜日

奈良の旅人エッセイ-7-「恩師と明日香・野迫川村フィールドワーク」

「恩師と明日香・野迫川村フィールドワーク」

2013年の秋、私は大学時代の恩師と奈良県野迫川村に向かった。
前日、明日香村の橘寺や川原寺周辺を散策後、明日香村観光協会から紹介してもらった民宿に到着。私自身、民宿に泊まるのは久しぶりであったから、内心ワクワクドキドキした気持ちであった。一泊二食付で六千円というリーズナブルな料金設定。食事も海老の天ぷらや煮物、焼き魚などたくさん出て美味しかった。恩師も食が進み、ご飯をおかわりした。茶碗蒸しも出て、嬉しいことにみかんもたくさん用意されていた。私たちは食後のデザートとして楽しんだ。
部屋は母屋に連なる離れの二部屋を使用。旅の疲れもあり、ぐっすり寝てしまった。朝食を済ませ、7時半には民宿を出発。169号線を車で南下。高取町、大淀町、下市町を抜け、黒滝村へと入る。道の駅「吉野路黒滝」でトイレ休憩。そこから猿谷ダムを抜けて五條市の大塔地区の山腹崩壊地を見学。その後、野迫川村に向かうため車を走らせたわけであるが、通行止めの道路もあり、運転するのがこわい道をゆっくり進んだ。目的地にたどり着くまでに、どのくらいの時間を費やしたことであろう。
やっとのことで野迫川村役場に到着、12時を過ぎていた。役場総務課の課長さんに「平成23年台風12号の爪痕 紀伊半島大水害による災害の記録」(冊子型の資料)をいただき、説明を受けた。復旧状況などをくわしくお話して下さり、深層崩壊した北股地区の現場を見学。大きな堰堤が姿を現した。山腹は復旧途上で、稜線の頂付近は山肌がはっきりと見える状態であった。おそらく今後の対策も踏まえ、植林なども行っていくのであろう。ハードな面とソフトな面を合わせて、どのように復旧されていくのか、住民たちの生活はどうなるのか、見続けていきたい。
今回の旅は、 自然災害の爪痕が残る奈良県南部を地理学の視点で見て回った。道中では奈良県の山々が紅葉し、ちょっとした目の保養にもなった。立ち寄ってみたいところ、 とりわけ温泉は魅力いっぱい。いつか、ゆっくりと旅したいものだ。その日はゆっくり下宿のお風呂に入った。ゆずの香りのする入浴剤を入れて。思い出深い秋の休日となった。

大阪府在住 S.Y.様 30代 男性