2014年2月20日木曜日

奈良の旅人エッセイ-20-「歌うたいの彼をたどる奈良旅」

「歌うたいの彼をたどる奈良旅」

琵琶湖を左手に眺めながらウトウトしていると京都駅のアナウンス。
慌てて降りたら改札を左に曲がり、近鉄電車乗り場へ直行。駅構内のコーヒーショップへ。特急電車のホームに近いここでコーヒーを待ちながら、発車メロディを聴くところから私の奈良旅が始まる。
そのまま特急に乗り込んでも良いけれど、今日は向う側の急行ホームへ。
歌うたいな彼の縁結で知り合った、旅の相方の住む街は特急電車は停まらないから。
途中駅から乗り込んできた相方との再会を喜びながら、まず向かう先は西ノ京 薬師寺。空模様を気にしながら東塔の前で聴いた彼の歌声は今でも忘れられない。
そのままてくてくと北へ歩いて唐招提寺へ。ここで大好きな千手観音様とご対面。わらわらと差し出される手を見ていると時間がたつのを忘れてしまいそうになるけれど、もう少し頑張って たまうさぎ本店まで。できたてのお団子とお茶で一服したら尼ヶ辻から近鉄奈良駅へ。
ならまちへ向かいお昼ごはんの予約を済ませてから、ここだけは外せない春鹿にて利き酒。
日本酒ダメだった私が飲めるようになったのは春鹿さんのおかげ。
店員さんとの会話も楽しく、そして彼の話題にも一緒に盛り上がってくれる。
試食の奈良漬に手が止まらず、〆に甘いときめきを頂く頃にはすっかりいい気分で相方とならまちをぶらぶら散策。我が家の常備薬 陀羅尼助を購入したら、そろそろランチが良い頃合い。過去に彼が立ち寄っていなくても確実に人気店なカナカナ。案内された席が偶然彼の座った席だったら ラッキー!優しい味のカナカナごはんを頂きながらお互いの近況や彼の話、居心地の良さも相まって時間はいくらあっても足りない。
途中 彼が大好物というケーキを食べたかったけれど、手作りのお店ゆえ今日は売り切れ、また今度のお楽しみ。もちいどの商店街、角のコロッケ屋さんの香りに誘われつつ近鉄奈良へ戻り、西大寺へ。桜の木の成長に月日を感じながらお参り。ご朱印帳に挟まれた「縁を結いて」の文字が温かい。
そして最後は平城京跡まで。空の広さや夕焼けの美しさを改めて教えられた場所。
西大寺駅へ戻り、年上のお兄様方に挟まれながら出発5分前まで立ち吞み処で別れを惜しむ。待ち望む彼の歌声を聴ける、その日が次の再会の日。
電車が動き出し姿が見えなくなるまで手を振って、ひとりになっても不思議と寂しさは感じないけれど、京都駅で最後にもう一度 発車メロディを聴くと時々ポロッとなる。飲みすぎでしょうか。
我が家には春鹿さんの利き酒グラスが10数個。今年はいくつ増えるかな。

福井県在住 I.K.様 40代 女性